創造力がひろがる絵本の世界。季節ごとのおすすめ絵本を、一緒に読むときのポイントを交えて紹介します。
『動物の見ている世界』作:ギヨーム・デュプラ、翻訳:渡辺滋人(創元社)、『みずとはなんじゃ?』作:かこさとし、絵:鈴木まもる(小峰書店)、『昆虫の体重測定』文・絵:吉谷昭憲(福音館書店)
動物や虫たちの生態について紹介しているような図鑑は数多くあれど、それらの動物や虫たちにとって景色がどのように見えているのか、その“視覚”をクローズアップしているのが『動物の見ている世界』。たとえば犬は赤、緑、青など色彩がぼんやりしているとは耳にしますが、猫が近視だというのは知る人ぞ知る事実。ほかにも鳥は中心がよく見えて周りはぼんやり、ハエやミツバチが見えている世界はモザイク! ページをめくるのがワクワクします。
かこさとしさんが最後に手がけた本が『みずとはなんじゃ?』。水が入ったお皿をそのままにして置いておくとなくなるし、氷になると水に入れたときに浮く。形状も性質もいろいろ変わる水って、本当に不思議です。たかが水、されど水。身近な水の不思議に、いろんな側面から興味がわくような絵本です。
『昆虫の体重測定』は、タイトルどおり、昆虫の体重を測定していくというコンセプトがユニーク。テントウムシを測定してみると0.05g。切手とほぼ同じ重さです。カブトムシは幼虫のときは30gあるのに、サナギになると20g、成虫になると10gになるのも不思議! 自由研究のヒントにもなりそうです。
『地面の下には、何があるの?』文:シャーロット・ギラン、絵:ユヴァル・ゾマー、翻訳:小林美幸(河出書房新社)、『立体で見る 星の本』作:杉浦康平・北村正利(福音館書店)
『地面の下には、何があるの?』は、ジャバラ状に折りたたまれたページを広げると2.5メートルもの長さに! 普段目にしている地面の下に何があるのか。土の中に生きる小さな微生物、その下には下水道や地下鉄が走り、さらに下にはマグマが冷えて固まった火成岩、そしてマグマやマントルまで! 子どもも大人も楽しめる、ワクワクな発見がいっぱいの絵本です。
『星の本』は、付属されている赤と青のメガネを使って見ると、星座が立体的に! 宇宙を旅しているような気持ちで楽しめます。この本が出版されたのは1986年。この時代にこのような本が作られたというセンスに脱帽。箱のケースに入っていて、贈り物にも喜ばれそうな装丁です。
『宇宙』文・絵:加古里子(福音館書店)、『せいめいのれきし』文・絵:バージニア・リー・バートン、監修:まなべまこと、翻訳:いしいももこ(岩波書店)
宇宙はどれほど広く、その果てはどうなっているのか? そもそも私たち人間は、なぜ宇宙へ行きたいと切望するのか? 果てしなく広がる宇宙にロマンを感じる『宇宙』。1978年に出版されて以来、なんと60回も増刷されているという、時代を超えて愛されている本です。
太陽が生まれたところからプロローグ(1ば)が始まり、生命の誕生や自然環境の変化、そして人間が生まれて文字を書くようになり、開拓、生活をするようになるまで、まるで劇場で見ているような気分で楽しめる『せいめいのれきし』。最初から順立てて読み進めるもよし、植物や生物、恐竜など、好きなポイントを入口にするのもよし。ビジュアルが美しく、大人が読んでも楽しめます。